コラム
買取・査定・お品物の知識を店主の視点でお届けします。
大切なお品物の売却や遺品整理などの際は、こちらもご覧ください。
エンディングノートに、お品物の記録を残しておくと、ご家族の負担が大きく減ります。
エンディングノートといえば、延命治療の意思や葬儀の希望、連絡先リストを書くもの——そんなイメージが一般的です。しかし、遺族が実際に困るのは「気持ちの記録」よりも「モノの所在と扱い」であることが少なくありません。
どの棚に何があるのか、貴金属の刻印は何を意味するのか、捨てていいものと残すべきものの区別はどうつけるのか。その判断を遺族が一から行うのは、体力的にも精神的にも大きな負担です。お品物リストはその負担を減らすための、具体的な贈り物になります。
整理の進め方については、これからの整理計画、どこから始めるかもあわせてご覧ください。
この記事では、エンディングノートの基本的な構成を押さえながら、「お品物リスト」の作り方と記載のポイントを丁寧にご説明します。どこから手をつければよいか分からない方は、ぜひ最後までお読みください。
お品物リストを書く前に、エンディングノート全体の構成を把握しておきましょう。市販のノートにはすでに項目が印刷されているものが多いですが、内容を自分でアレンジすることが大切です。
エンディングノートに記す内容は大きく4つに分けられます。①自分に関する基本情報(生年月日・住所・マイナンバーなど)、②医療・介護の希望(延命措置・入院時の連絡先など)、③葬儀・お墓の希望(形式・参列者の範囲など)、④財産・資産に関する情報(預金口座・保険・不動産)。そして多くのノートで手薄になりがちなのが、⑤動産・遺品に関する情報、つまり「お品物リスト」です。
エンディングノートは遺言書とは異なり、法的な拘束力を持ちません。財産分与を法的に確定させたい場合は、別途「自筆証書遺言」や「公正証書遺言」の作成が必要です。エンディングノートはあくまで遺族への「覚書」として機能するものであり、気持ちや希望を伝えるための補完的な文書です。この違いを理解したうえで、ノートには書けることを丁寧に書き残す姿勢が大切です。
エンディングノートは一度書いたら終わりではありません。持ち物は変わり、気持ちも変わります。市販のノートに直接書き込む方法もありますが、ルーズリーフや差し替え可能なファイル形式にしておくと、加筆・修正がしやすくなります。お品物リストは特に内容が変わりやすいため、年に一度見直すタイミングを決めておくとよいでしょう。
「お品物リスト」の目的は、遺族が品物を見たときに「これは何か」「どう扱えばいいか」をすぐに判断できるようにすることです。そのためには、単に品名を並べるだけでなく、査定・処分・保管に役立つ情報を添えることが重要です。
まず記録すべきは、品物を特定するための情報です。具体的には「品名」「ブランド名」「型番・型式」「購入年(おおよそでも可)」「保管場所」の5項目が基本になります。たとえば時計であれば「ロレックス GMTマスターII Ref.16710、クローゼット上段の黒いケースの中」と書くだけで、遺族が品物を探す手間が大幅に省けます。型番が分からない場合は、本体や内側に刻印があることが多いので、後述する確認方法を参考にしてください。
買取査定の現場では、付属品と証明書類の有無が評価に大きく影響します。箱・保証書・鑑定書・領収書・修理記録といった書類は、品物と一緒に保管されているとは限りません。引き出しや書類ケースに分散していることも多いため、「保証書は書斎の2段目の引き出し」のように場所も合わせて記録しておくことをおすすめします。当店でロレックス GMTマスターII Ref.16710を査定した際にも、箱・保証書が揃っていると状態に応じた評価がより高まることを実感しています。
査定には直接関係しませんが、「いつ・誰から・どんな理由で入手したか」を一言書き添えると、遺族が処分を決断しやすくなります。「祖母から譲り受けた形見」と分かれば、安易に処分せず専門家に相談しようという気持ちになれます。反対に「旅行のお土産で自分で購入、思い入れは薄い」と書いてあれば、遺族の迷いを減らすことができます。モノの価値だけでなく、気持ちの文脈も記録に残しておく意識が大切です。
リストを作るうえで最初の難関となるのが「型番や刻印が読めない」という問題です。貴金属やブランド品には、品質を示す刻印が必ずといってよいほど存在しますが、小さく彫られているため見落としやすいのが現状です。
金やプラチナには品位を示す刻印があります。「K18」「K24」「Pt900」「Pt950」などがその代表です。リングであれば内側、ネックレスであれば留め具の付近に刻まれていることが多いです。老眼鏡やルーペを使うと確認しやすくなります。刻印が読めない場合でも、「金色のリング、内側に何か刻印あり」という記録だけでも、遺族が専門家に相談する際の手がかりになります。
腕時計の型番は、ケースの裏蓋か側面に刻印されています。ルーペや明るい照明の下で確認しましょう。ブランドバッグの場合は、内側のポケットやタグに品番が印字されていることが多いです。ルイ・ヴィトンであればDCコード(製造年・工場を示す2桁のアルファベット)が刻印されており、モデルの特定に役立ちます。写真を撮っておくのも有効な方法です。スマートフォンで刻印部分を接写しておくと、後から確認しやすくなります。
刻印が読めない、ブランドが分からない、真贋に自信がない——そういった場合でも、「分からない」という事実をリストに書き残すことに意味があります。「金色の重めのネックレス、刻印不明、祖母の遺品」のような記録でも、査定時に専門家が確認の出発点とすることができます。何も記録がないよりも、曖昧な情報でも残しておくほうが遺族の助けになります。
実際にどんな形式で記録すればよいか、カテゴリ別に具体例をご紹介します。あくまで一例ですので、自分の所有品に合わせてアレンジしてください。
貴金属は重量と品位(刻印)が査定の基本になります。以下のような形式を参考にしてください。
【品名】Pt900ダイヤモンドリング 【保管場所】寝室のジュエリーボックス上段 【刻印】Pt900、内側に0.62の刻印あり 【付属品】購入時の箱あり、鑑定書なし 【備考】30年前に夫から贈られたもの
重量はグラム単位で記録できると、より正確な査定の参考になります。ただし家庭用の体重計では量りにくいため、「重めのリング」程度の感覚的なメモでも構いません。
ブランド品は型番と状態、付属品の有無が特に重要です。
【品名】ルイ・ヴィトン モノグラム バケットPM 【型番】M42238(バッグ内側のタグに記載) 【状態】キャンバスに若干の擦れあり、内ポーチ付属 【保管場所】クローゼット右側の棚 【備考】長女への譲渡を希望
腕時計は「稼働中か停止中か」も記録しておくと親切です。止まっている時計でも買取の対象になる場合がありますが、その事実を遺族が知らずに処分してしまうケースがあります。
記念金貨やコレクターアイテムは、一般の遺族には価値の判断が難しいカテゴリです。当店では御即位記念10万円金貨や御成婚記念5万円金貨を査定した実績がありますが(相場や状態により買取金額は変動します)、こうした品物はケース・証明書の有無が評価に大きく関わります。ノートには「専門家に査定を依頼してください」と一言添えておくだけで、遺族が適切な対応を取りやすくなります。
なりません。エンディングノートには法的効力がなく、財産の分与を法的に確定させる効力はありません。特定の品物を特定の人に渡したい場合は、自筆証書遺言または公正証書遺言を別途作成し、司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。エンディングノートはあくまで「遺族への覚書・意思の伝達」として補完的に活用するものです。
書いておくと参考にはなりますが、古くなった情報は逆に誤解を招く可能性があります。貴金属の相場は日々変動しており、数年前の購入金額や査定金額がそのまま現在の価値とは限りません。「おおよそ〇〇円で購入」という記録は残してよいですが、「今の価値は〇〇円」と断定する記載は避け、「査定時に専門店で確認を」と一言添えることをおすすめします。
まず「貴金属・宝石類」から始めることをおすすめします。重量あたりの価値が高く、かつ遺族が判断に迷いやすいカテゴリだからです。次に「ブランド品(バッグ・時計)」、そのあとに「その他のコレクション・記念品」という順番で進めると効率的です。一度にすべてを記録しようとすると続きません。1日15分・1カテゴリずつという小さな単位で始めましょう。
関連ページ|指輪やネックレスなどの貴金属は、リストに残す前に価値を確かめておくと安心です。貴金属・金・プラチナ買取のご案内で査定基準をご紹介しています。
お品物のお写真をLINEでお送りいただければ、おおよその見立てをその場でお伝えできます。「これはいくらになるだろう」という段階のご相談でも構いません。査定料・相談料はいただきませんので、お気軽にお声がけください。
お品物リストを作る過程で「これは今いくらぐらいの価値があるのだろう」と気になる品物が出てくることがあります。そんなときは、整理を進める前に一度専門店で査定を受けてみるのも一つの選択肢です。価値が分かることで、リストへの記録内容が充実し、遺族への伝え方も具体的になります。
買取蔵の宮(神奈川県平塚市)では、貴金属・ブランド品・記念金貨・コレクションアイテムなど幅広い品目の査定を承っています。査定だけのご利用も歓迎しております。「これは売れるのか分からない」「捨てる前に一度見てほしい」という段階からお気軽にご相談ください。エンディングノートの作成途中でお持ちいただいても、丁寧に対応いたします。
残すか手放すかの判断は3つの問いを、ご実家の片づけは実家の棚を開ける前にをご参照ください。査定のご相談は出張買取でも承ります。
はじめまして、買取 蔵の宮の店主を務めております宮坂と申します。この道に入って11年、これまでに数えきれないほどのお品物と、その持ち主であるお客様の想いに触れてまいりました。
私が大切にしているのは、ただ「見る」のではなく、深く「観る」こと。お品物の状態や相場はもちろん、その背景にあるご家族の歴史や思い出にまで心を向け、一点ずつ丁寧に向き合うことを信条としております。
「売る」「売らない」も含めて、お客様にとって最善のご提案をいたします。査定だけ、ご相談だけでも構いません。どうぞお気軽にお立ち寄りください。